第234回 あの日から始まる物語③ とどけYOKOSUKAの想い~福島 南相馬

先週に引き続き、今週の月曜日から水曜日まで、横須賀STAND BY ME プロジェクトのメンバーと、再び東北へ旅立ちました。
月曜日の夜に横浜を発ち、翌日早朝岩手着。そこから延々と海岸沿いを見ながら仙台まで下りて1泊。
水曜日に福島 南相馬の大甕小学校で行われる校長先生の退任式に併せ、3月11日に集まった善意のお金を桜の苗木にして植樹してきました。
5人の児童が亡くなったこの小学校で5本。海の見える、壊滅した更地の中にあるお墓の周りに25本の計30本。

お預かりしたお金をどのような形で活用させて頂くか、グループの中でも議論がありました。
しかし今回の震災で福島 しかも第一原発でお勤めの娘さんを亡くされ、私達メンバーにイベントを決意させたSさんが「被災した人達の思い出の場所がほしい」という言葉をきっかけに、被災各地で植樹を行うNPO法人「さくら並木ネットワーク」との連携がスムーズにまとまり、28日の退任式に絶妙のタイミングで植樹できることになったのです。
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今回横須賀のみんなの想いを届けることに決まった9名。その中にお母さんから311の3週間くらい前にイベントのことを聞き、「自ら参加したい」と名乗り出た中学2年生のF君の姿がありました。お母さんいわく「小学校の時は荒れていて手がつけられなかった」という柔道部の彼は、当日ユニフォームのスカジャンを着、同じくスカジャンを着た大人たちと一緒になって街頭で必死に募金をし、打ち上げでは大好きだというブルーハーツを歌う。そんな彼です。
そんな彼が、横須賀から持ってきた花束を小学生に渡す役目を、式の直前に代表のNさんから任命されました。

花束は、5本のひまわりにたくさんの菜の花。5人に仲間が寄り添っているというものです。
それを手に、校長先生、代表のNさんのスピーチのあと、寄贈を記念して建てられた石碑を背に彼が小学生たちの前に。
「遠くにいるけれど、みんなと心は一緒にいますから。」
それを静かに聞く子供達。原発事故の後、201名いた在校生は今91名になってしまったそうです。
F君は残った子供たちの前で、立派に、堂々と横須賀のみんなの想いを伝えました。
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彼らが大人になり、必ず新しい、明るい社会を作る原動力になってくれるだろうと信じたい。
もしかしたらそれはこの状況を招いてしまった私達大人のエゴかもしれません。
ただ、それを彼らに、少しでもいいかたちで渡すようにできることをしていくのが、大人としてやらねばならないこと。
緊張で足が震えながらだったそうですが、しっかりと大役を果たしたF君の言葉を聞きながら、心から思いました。

小学校での植樹のあと、海の見える墓地で手分けしての植樹。
海に近いここは、骨壷まで流されてしまったそうで、周りには無残にも倒れた墓石が散乱していました。
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穴を掘り、苗木を入れ、水をかけ、肥料をやって土をかぶせ、杭をうち固定する。
女声も重い槌をもって杭を打ち込みます。
途中、それまで穏やかだった天気がいきなり吹き降りの雨に変わりました。
皆で濡れながらも無事植え終えたとき、雨は不思議とやんでいました。
この桜が花をつけ、遺族の方の思い出、そして憩いの場としてこの墓地を彩ってくれることを願いながら献花をし、セレモニーは終了しました。
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震災から1年を迎えた3月が終わり、春の訪れと共に、皆が再び動き始めます。
「心は一緒にいるから。」
来年この桜が咲くころを楽しみに、こちらでも元気をチャージして、来る4月を迎えたいと思います。

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